11月の年中行事 | 文化の日や勤労感謝の日の由来は?

11月の年中行事 | 文化の日や勤労感謝の日の由来は?

11月の文化は謎がたくさん。文化の日と勤労感謝の日は戦後にできたもの?神無月は10月なのに、出雲では11月に「神在月」がある?11月の年中行事を歴史から解説します

11月3日 文化の日

明治神宮

11月3日は「文化の日」と言いますが、なぜ、文化の日なのでしょうか。

その名称の秘密はなんとアメリカにあります。

1945(昭和20)年、日本とアメリカの戦争はアメリカの戦勝で終戦しました。
占領軍として日本に進駐したアメリカ軍は、日本人の生活や考え方を変えるためにカレンダーの祝日名を変えました。

それまでの日本国では、11月3日を「明治節(めいじせつ)」と定めていました。理由は、明治天皇が11月3日生まれだったためです。アメリカ占領軍は「文化の日」という祝日名に変更し、日本における天皇の存在感を薄めようとしたのですね。

戦後は文化に対して功労功績のあった人に文化勲章の受勲もされるようになり、11月3日は文化を大事にする日としての側面が強まりました。

流鏑馬
明治神宮で行われる流鏑馬(やぶさめ) しかし、明治天皇をご祭神として祀る明治神宮では毎年この時期に「秋の大祭」を催し、3日には流鏑馬を行っています。流鏑馬は国家太平や病気平癒を願って馬上から弓矢で3つの的に当てる神事。現代ではなかなか見ることのできないダイナミックな儀式です。本来の明治節を楽しみたい方は、ぜひ明治神宮に足を運んでみてはいかがでしょうか。

11月15日 七五三

七五三の服装

七五三の衣装は?由来も解説

七五三とは、7歳、5歳、3歳の子どもの成長を祝う日本の大切な年中行事です。

神社などで「七五三詣で」を行い、その土地の神様に子供の成長の報告と感謝、今後の祈願を行います。

人は生まれてから、お宮参りのほかに、成長するにつれて行われる儀式が色々とあります。

3歳 髪置き

3歳では、髪置き(かみおき)と言う儀式を執り行い、この頃から髪を伸ばしはじめます。 衛生状態が整っていなかったかつての日本では、清潔さを保つために子供の髪は3歳ごろまで丸く剃っていました。3歳になり、ある程度育ってきた時点でようやく髪を伸ばしはじめることができたのです。

5歳 袴着

5歳の男の子は、初めての袴を着ける袴着(はかまぎ)の儀式を行います。この袴着の儀式を終えることで、少年の仲間入りを果たします。

7歳 帯解

7歳の女の子は、子供用の帯から、大人の着物の帯に替える帯解(おびとき)の儀式を迎えます。子供が着物を着る際は専用の紐を使用しますが、7歳で初めて大人と同様、着物に帯を使うようになります。

七五三の由来|7つ前は神のうち

医療が整っていないその昔は、生まれたばかりの赤ちゃんは、「まだ人間の社会に仲間入りしていない。つまり人間ではない」と考えられていました。このことから、「7つ前は神のうち」という言葉ができました。子供は、神様のように純粋で穢れのないものという意味ですが、7歳までの子供は、神様と人間世界のあいだをふらふらしているものだと考えられていたのです。このことから、子供の成長を願う行事が平安時代ごろから発達していきました。

現代では七五三という江戸時代に確立した習わしが全国的に広がっています。11月15日に氏神様に参り、小豆飯を炊いて祝うスタイルが現代に伝わっているのですね。

七五三を11月15日に固定したのは、日本の古い神社のお祭りが、11月のとくに15日だったところが圧倒的に多かったからです。 15日は満月の日が多いので、満月の夜をもって神様をまつるという古くからの習わしに従っているからという説もあります。

11月23日 勤労感謝の日

現在、11月23日の祝日名は勤労感謝ですが、本来の祝日名は、「新嘗祭(にいなめさい)」と言います。

新嘗祭とは、天皇陛下が自らその当年に収穫された新穀五穀を天照大御神(あまてらすおおみかみ)、天の神、地の神に供えて感謝のおまつりを行う日です。

皇居の中にある神をお祀りしている神嘉殿では、天皇陛下が自ら、日本のすべての神々に新米を捧げてから、天皇陛下もお召し上がりになります。新嘗祭とは、新米や新酒を捧げ、神様と共にいただく重要な皇室祭祀であり、日本国の最も重要な祭祀なのです。

11月は霜月であり、神在月?

出雲

10月を神無月(かんなづき)といいますが、出雲では神在月(かみありづき)と言います。
しかし旧暦10月は現在の9月で、11月は旧暦の10月になるため、正しくは11月こそが神無月なわけです。

ただし、出雲の地では、「神在月(かみありづき)」と言います。

神在月とは、日本全国の神様が旧暦の10月に出雲に神計(かむはか)りの為に結集する日。神計りとは、神様が日本中の命運を決める会議のことです。

「神様が集まる場所といえば出雲大社でしょ」となんとなく知識で知っている方も多いと思いますが、出雲の神在月に神様たちがいつ、どのようなことをされるかはご存じでしょうか?

実は、神を出雲へお迎えする儀式は11月に行われているのです。

神迎神事(かみむかえしんじ)

稲佐の浜

日本全国の神々が、毎年旧暦の10月10日(令和4年では11月3日)に出雲の国の稲佐の浜という海岸に降り立ちます。来年の神計りをされる神々を出雲大社の神職さんたちが、稲佐の浜でお迎えするのです。

その後、神々は出雲大社へ向かい、出雲大社の左右に在る宿社である十九社(じゅうくしゃ)に泊まります。翌日には「神在祭(かみありさい)」が執り行われ、神様たちは会議を始めます。

神計りの内容

■ 政治、経済などの国運
■ 企業、会社、中小零細企業個人事業の社運
■ 個人の縁や男女の縁などの対人運

今年は、11月4日(金)、8日(火)、10日(木)に行われます。

縁結大祭(えんむすびたいさい)

11月7日〜8日、10日に行われるのは多くの女性に人気の神事である縁結大祭(えんむすびたいさい)です。

出雲大社のご祭神大国主大神をはじめ八百万の神々へ、縁結びを祈る祝詞が奏上されます。
大国主は縁結びの神。毎年縁結びを希望する方が押し寄せるお祭りになります。

このお祭りは一般の方の参列が可能です。お申込み方法は秋頃に出雲大社HPに掲載がありますので、ぜひチェックしてみてください。

出雲大社

ご利益
商売繁盛、五穀豊穣、恋愛成就、交通安全、学業成就
アクセス
JR出雲市駅から一畑バス[出雲大社・日御碕・宇竜行き]で25分
公式HP https://izumooyashiro.or.jp/

神等去出祭(からさでさい)

神事と会議を終えた神たちは出雲からそれぞれの神社へ帰っていきます。その儀式のことを「神等去出祭(からさでさい)」といいます。毎年 旧暦10月17日(令和4年は、11月10日)、26日(令和4年は11月19日)に行われます。

神々はご宿社の十九社をでて、出雲の万九千(まんくせん)神社で直会(なおらい)をされたあとそれぞれの国(地域の神社)にお帰りになります。

以上が、縁結びの出雲の神在月のお祭りです。
目に見えない世界(縁)を結んでくださるこの時期に出雲に行ってみたい月でもありますね。

神社Tips!

供物

直会(なおらい)とは、神事後にする宴会のことを言います。おまつりした神々とともに、お祭りに奉仕した神職が宴をします。神在月の万九千神社の直会は、神様たちだけが直会(宴)をします。

また、神さまへのお供えものを祭典終了後に参列者と共にいただくことも直会といいます。 神さまと同じ物をいただくことで神さまと強く結びつき、加護を受けられるとされています。

 

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西邑清志
にしむらきよし

平安時代(貞観年間・西暦859年)から続く神社祠官の家系に生まれ、國學院大學神道文化学部神道文化学科神職過程卒。大學卒業と同時に神社本廳から神職としての階位、正階位を受階。神道・神社参拝に関するコンサルティング業務、日本の伝統・文化等の学びの場を広げている。神職として都内神之宮にて諸祈願等を斎行する。

【執筆】
『今こそ本気の神社まいり』(主婦の友社)
『みんなの神さま 神社で神さまとご縁をつなぐ本』(永岡書店)
『あなたの運がよくなる!神さまへの願いの届け方』(かんき出版)
『幸せの神さまとつながるお掃除の作法』(青春出版社)

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